月讀
『死を考えること、生きるとは死に向かうこと』
タイトル「月讀」は夜を統べるものとして月を神格化した日本神話の神です。
私にとって夜は精神と親和するものであり、自身と向き合う大切な時間となります。
また、夜は闇を生む時間でもあります。その闇は不明瞭で捉えられず、恐怖をもって私たちを包むため夜は死のイメージと結びつきます。そして昼=生、夜=死として一日の周期と同じように生物もまた生まれては死ぬことを繰り返すと考えます。
死ぬことは次の新しい生命誕生の準備です。しかしそれがいつ訪れるのか、知ることはできません。そのため、常にそれが身近に存在していると認識し受け入れておかなくてはいけません。
怖ろしく、避けたいものとして存在する死に対して前向きに考え、どう迎えるかを再認識するための写真群です。
自身の死と同様、大切な存在の死も耐え難いものです。
だからこそ想像し、考え、その時が来るのを準備して迎える必要があります。
死生観を反映した写真のイメージを通じて観る者が死を感じ、死について考えることで「今」という生の実感や尊さを思い起こすきっかけを生む作品です。
-2019-